マウスピース矯正は、目立たずに歯並びを矯正できる治療法ですが、前歯だけを矯正することは可能なのでしょうか?
今回は、マウスピース矯正の基本的な仕組みから、前歯のみのマウスピース矯正が適しているケース、治療のメリットやリスク・注意点まで詳しく解説します。
1. マウスピース矯正とは?
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製の矯正装置を使用し、徐々に歯を動かすことで歯列を整える矯正方法です。マウスピース矯正の大きな特徴と基本情報を以下にまとめます。
マウスピース矯正の特徴
①透明で目立たない
マウスピースは透明の素材で作られているため、従来の金属ブラケットと比較して目立ちにくく、審美性に優れています。これは特に人前に出るお仕事や社会生活において見た目を気にする方にとって大きな利点です。
②取り外し可能
食事や歯磨きの際に自由に取り外せるため、口腔内の清潔さを保てます。また、重要な行事やイベントの際にも一時的に外すことができます。
③痛みを感じにくい
金属ブラケットによる矯正より痛みや違和感を感じにくいことが多いです。
例えばインビザラインは1枚のマウスピースで最大0.25㎜ずつ歯を動かし、非常に微小な単位の歯の移動になるため、ワイヤー矯正に比べると歯の移動に伴う痛みを感じにくいと言われています。
※痛みには個人差があります。
④カスタムメイド
患者様ごとに個別の歯型から作成されるため、フィット感が高く、計画的に歯を移動させることができます。
マウスピース矯正の基本情報
①治療期間
歯並びの状況によりますが、全顎矯正の場合は1年~3年程度、部分矯正なら2.5ヶ月~1年程度となります。軽度の症状の矯正では、さらに短期間で終了することもあります。
➁適応範囲
軽度から中等度の不正咬合(歯列の形状が正常ではない状態。叢生、空隙歯列弓(すきっ歯)など)によく適応します。重度の場合は枚数の多いプランや、他の矯正方法との組み合わせで治療することもあります。
2. マウスピース矯正で前歯だけを治すことは可能?
前歯の位置や歯並びに関する問い合わせは非常に多いです。では、実際にマウスピース矯正で前歯だけを治療することは可能なのでしょうか?
技術的には、マウスピース矯正で前歯のみを治療することは可能です。しかし、実際に前歯のみの矯正を行うにはいくつかの条件を満たす必要があります。
①症状が軽度であること
前歯の位置修正だけが必要である場合には治療できます。変位や咬み合わせ問題が絡むことなく、前歯だけの位置調整ができる場合に限られます。
②前歯以外の歯並びや咬み合わせに問題がないこと
前歯に限定された不正咬合であり、他の部分の歯並びや咬み合わせに問題がない場合。
③歯科医師の診断
上記の条件は自分で判断せず、歯科医師による正確な診断を受けることが重要です。短期的な見た目の改善だけでなく、長期的な歯並びの問題への配慮も求められます。
3. 前歯のマウスピース矯正のメリット
前歯のみのマウスピース矯正の具体的なメリットを以下に解説します。
①短期間で治療が終了する可能性
前歯のみを矯正する場合、全体的な矯正と比較して治療期間が短縮されることが多いです。軽度のケースでは数ヶ月から1年以内で治療が終了することがほとんどです。
②比較的費用が抑えられる
矯正範囲が前歯のみに限定されるため、全体的な矯正治療と比較して費用が抑えられることが期待できます。
③審美的効果
前歯は笑顔の時や会話時に非常に目立つ部分です。前歯の歯並びが改善されることで、全体の見た目の印象が向上し、自信を持てるようになるでしょう。
4. 前歯のマウスピース矯正のリスク・注意点
前歯のマウスピース矯正には多くのメリットがありますが、いくつかのリスクや注意点も存在します。以下にそのポイントを解説します。
①咬み合わせを考慮せず部分矯正するとバランスが悪くなるリスクがある
前歯だけの矯正治療であっても、奥歯や全体的な咬合に配慮する必要があります。そのため、治療前に全体の歯並びや咬合のバランスを歯科医師に慎重に見極めてもらう必要があります。
②装着時間が不足すると期待する効果が得られない恐れがある
マウスピース矯正は取り外しが可能ですが、1日20時間以上の装着が推奨されています。前歯のみのマウスピース矯正でも同じで、自己管理が欠かせず、装着時間が不足すると期待する効果が得られないことがあります。
マウスピース矯正による前歯の治療は、多くの利点を提供する一方で、精密な診断と計画が欠かせません。前歯のみの矯正が可能かどうか、またその方法が患者様それぞれにとって適切な選択であるかを判断するには、歯科医師との詳細な相談が不可欠です。
もしご興味がある方は、当院へご相談ください。熊本上通矯正歯科クリニックでは歯科医師が患者様それぞれに適した治療をご提供いたします。