歯ぎしりや食いしばりは、多くの方が無意識のうちに行っている習慣ですが、歯や顎に過度な負担をかけ、口腔内にさまざまな影響を及ぼすことがあります。特に、マウスピース矯正中は、歯ぎしりや食いしばりによって治療に影響が出ることも考えられます。今回は、歯ぎしり・食いしばりの特徴や、マウスピース矯正に与える影響、注意点、そして対処法について詳しく解説します。
1. 歯ぎしり・食いしばりとは?原因と特徴
歯ぎしりは上下の歯を擦り合わせる動作を、食いしばりは上下の歯を強く噛み締める動作を指します。多くの方が無意識に行っており、気づかないうちにお口の中や顎、筋肉に負担がかかっている場合が少なくありません。
歯ぎしりや食いしばりは、一般的には以下のような要因から引き起こされることが多いです。
①ストレスや緊張
日常生活でのストレスや緊張が、歯ぎしりや食いしばりの原因になることがよくあります。特に就寝中に無意識に歯を噛みしめることで、歯や顎に過度な力がかかり、歯ぎしりの症状が現れやすくなります。
②噛み合わせの不調
噛み合わせが悪いと、特定の歯や顎に負担がかかり、歯ぎしりや食いしばりの原因になります。
③睡眠中の動き
片側だけで食べ物を噛む癖や、頬杖をつく、うつ伏せで寝るなどの習慣も、歯ぎしりや食いしばりの原因となる場合があります。
歯ぎしりや食いしばりが続くと、歯がすり減ったり、顎の関節に痛みが出たりすることがあり、放置するとさらに悪化することもあります。
2. 歯ぎしり・食いしばりがマウスピース矯正治療に与える影響とは?
歯ぎしりや食いしばりは、マウスピース矯正に影響を及ぼすことがあります。マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使って歯を少しずつ動かす矯正治療法です。歯ぎしりや食いしばりによる強い圧力がマウスピースに加わると、以下のような影響が考えられます。
①マウスピースの破損や変形
マウスピースは透明で薄い素材を使用しており、歯ぎしりや食いしばりが強い方の場合、マウスピースに過度な力がかかるため、破損や変形のリスクが高まります。特に就寝中の歯ぎしりは力が強くなりやすく、マウスピースの劣化や破損につながることがあります。
②歯の動きへの影響
歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎に強い力がかかるため、計画通りの動きが阻害される可能性があります。矯正中は歯が微調整されるため、予期しない方向に力が加わると歯の位置がずれるリスクもあります。
③治療期間の延長
稀にマウスピースの破損や変形によって、マウスピースの作り直しや調整が必要になり、治療計画の変更や延長が生じることもあります。
このような理由から、歯ぎしりや食いしばりがある方は、マウスピース矯正に影響を及ぼさないための対策が重要です。
ただしマウスピースが歯を保護し、歯ぎしりや食いしばりで歯が削れてしまうのを防ぐ効果もあります。
歯ぎしり・食いしばりの程度によって取るべき対策が変わりますので、歯科医師に相談の上対策しましょう。
3. 歯ぎしり・食いしばりがある場合のマウスピース矯正時の注意点
歯ぎしりや食いしばりがある方がマウスピース矯正を受ける場合、以下の点に注意しましょう。
①歯科医師に事前に相談する
歯ぎしりや食いしばりの有無を事前に歯科医師に伝えることで、強度のあるマウスピースを選んだり、追加のサポートをしてもらうことができます。熊本上通矯正歯科クリニックではボトックス治療も実施しており、併用可能です。
②定期的な検診を受ける
歯ぎしりや食いしばりが強い場合、マウスピースが破損するリスクがあるため、通常よりも頻繁に歯科医院でメンテナンスを受けるよう、歯科医師から指示される場合もあります。マウスピースが変形していないか、装着感に違和感がないかなどを定期的に確認することで、治療の遅延を防ぐことができます。
4. マウスピース矯正中でもできる歯ぎしり・食いしばりへの対処法
マウスピース矯正中の歯ぎしりや食いしばりの対策として、以下の対処法を取り入れることで、症状を軽減することが期待できます。
①日中の歯ぎしりに意識を向ける
日中の食いしばりには気づかないことが多いため、意識的に上下の歯を離しておくよう心がけましょう。常に上下の歯が軽く接触している状態が歯に負担をかけるため、リラックスした状態を意識することが重要です。
②リラックス法の習慣化
食いしばりや歯ぎしりはストレスが関係していることも多いため、深呼吸やストレッチでリラックスする習慣を持つことが予防に役立ちます。
③口周りの筋肉のストレッチ
顎周辺の筋肉をほぐすストレッチを日々行うことで、顎や筋肉の緊張が和らぎ、歯ぎしりや食いしばりが緩和されることがあります。簡単なストレッチとしては、口を大きく開けて顎の筋肉を伸ばしたり、頬をマッサージすることが効果的です。
④ボトックス治療を受ける
ボトックスは、筋肉の過剰な動きを抑える働きがあり、顎の周りの筋肉がリラックスすることで歯ぎしりや食いしばりの軽減が期待できます。
どうしても歯ぎしりや食いしばりが改善しない場合は、歯科医師に相談しましょう。矯正の進行を考慮しながら、歯ぎしりや食いしばりの軽減方法や、ボトックス治療の併用についてアドバイスを受けることができるでしょう。
まとめ
歯ぎしりや食いしばりがあっても、マウスピース矯正は可能です。しかし、強い力がマウスピースに加わることで治療に影響が出る可能性もあるため、矯正治療を効果的に進めるためには、適切な対策とケアが不可欠です。歯科医師への事前の相談やボトックス治療の併用、日常的なストレス解消や筋肉のリラックスが、矯正治療と歯ぎしり対策の両方に効果的です。また、歯ぎしりや食いしばりがマウスピース矯正に与える影響を防ぐために、定期的な検診と歯科医師のサポートを活用することが大切です。
熊本上通矯正歯科クリニックでは、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方にも適切な矯正治療を提供するため、一人ひとりの状態に合わせた治療計画をご提案しております。熊本で矯正治療に関するお悩みやご不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修:熊本上通矯正歯科クリニック
院長:村上政敏